「ん? どうした?チャンミナ苦しいの?」 別々に発声練習をしていたユノがチャンミンの視線を感じて、近づいてきた。 「え?」ハッと我に返ったようにチャンミンが声をあげた。 「僕又ユノヒョン見てた?」驚いたようにチャンミンが聞いた。 「あーなんか不安そうな顔で見てたから、苦しいのかと思って、びっくりしたよ」 「大丈夫、苦しくないよ…でもかなり重症みたいだ…」 チャンミンは俯いたまま、呟いた。  「チャンミナー大丈夫?ちょっと休憩しよう」 …やっぱりまだ、体調良くないのかな?…検査でもした方がいいのかな…  ユノはチャンミンの顔をじっとみつめながら、腕をつかんだ。 「こんなに痩せちゃって…」 「僕は元々細いんですよ。いくら食べても太らないんだから」  広い休憩室でピッタリと寄り添う二人。 周りから見ると、どうしてそんなに引っ付いて座っているのか?と不思議だが 本人たちは全くそんな事に気づかずに、二人で支えあうように、並んで座っていた。 「今日は何食べに行く?」 「う〜〜ん、焼き肉!」 「お!いいね〜。チャンミナ…食欲でてきた??」 「ヒョンがご馳走してくれるなら、ガンガン食べますよ」 「いいよー!チャンミナが元気になってくれるなら、奮発するよ!」 ユノは嬉しそうにチャンミンの顔を覗きこんで、言った。 こんな時だけが、二人にとってホッと出来る貴重な時間だった。 「ヒョン!ユノヒョン!!見て!早く来て!」 シャワーを浴びて出てきたユノにチャンミンはテレビの前で叫んだ。 チャンミンがじっと見つめるそのテレビの中には、 出て行った3人が映っていた。 「何これ。やっぱり出たの?これ…うちの事務所が出ないってボイコットした番組じゃないか。 決定的だな。あいつら、本気なんだな…  もうここに戻る気はないんだな…」 分かってはいたが、現実的な事実に二人は動揺した。  ショックを隠し切れないユノは、部屋に飛び込んだ。 「もしかしたら、もしかしたら…なんて考えた俺がバカだったんだ。 お前らはそうやって、もう違う道を進んでいるんだな」 やはりリーダーとして、ずっと引っ張ってきたユノは辛かった。 ベッドにドサッと横になって、しばらく考え込んでいたユノだったが ハッと我に返り、居間に戻った。 「チャンミナ!!」 居間はテレビがついたままだが、チャンミンの姿はなかった。 「チャンミナ!!どこ?」 大きく揺れるカーテンに気づき、ベランダを見ると、そこにチャンミンがいた。 「チャンミナ!」 「ヒョンたち元気そうだったね」そう呟いて、チャンミンは口を閉じた。 ユノも何も言えず、二人を静寂が襲った。 「ねぇ、ユノヒョン …もう5人でトイレの取り合いすることもないし、ゲームで喧嘩することもないよ。 ジェジュンヒョンの料理無理やり食べさせられる事もない、ジュンスヒョンの変な笑いにつきあうこともないんだよ。 ユチョンヒョンの泣き虫に困る事もないしね…。 ね、ユノヒョン、良かったじゃないか」 「…チャンミナ…」ユノは堪え切れずにチャンミンを後ろから抱きしめた。 そして、チャンミンの背中に顔をうずめた。チャンミンは空を見上げながら、涙を流した。 二人で一緒に泣くのは初めてだった。 そして、二人共これで終わりにしよう。 もうこの事で泣くのは終わりにしよう。 明日からは二人で前を向いて、歩いて行こう。 絶対にもう泣かない。だから今日は… だから今日はもう少し… いろんな想いを胸に閉じ込め、月明かりの下二人で痛みに耐えた。 ヒョン! チャンミンの大きな声で目覚めたユノが 「どうした?チャンミナ!」と飛び起きて、隣に並べたベッドを覗き込む。 「行かないで… ヒョン…」   ユノの方を向いて横になるチャンミンは軽い寝息をたてている。 頬には一筋の涙のあとが光っている。 可哀想に。 可哀想なチャンミナ… 感受性の強いチャンミナ… 人一倍心配性で、思いやりの強いチャンミナ… 今回一番傷ついたのはチャンミナかもしれない。 それでなくても、末っ子で我慢してる事沢山あっただろうに… 兄さんたちの勝手で振り回されて… 可哀想に。 可哀想なチャンミナ… チャンミンのベッドのそばに膝まづき ユノはチャンミンの流れる涙を指で拭い取り、頬をなでた。 チャンミナ… ユノはじっとチャンミンの寝顔を見つめていたが、深いため息をつき、 自分のベッドに戻った。 なんだよ、なんでドキドキするんだよ。 ずっと一緒に暮らしてきたのに、なんで今更 チャンミンの寝顔見て、ドキドキなんかするんだ! 辛い事ありすぎて、おかしくなってるんだ。きっとそうだ。 チャンミナまで、ヒョンを独り占めできる…とか訳わかんない事言い出すし… 独り占めって…独り占めって… いったい!どういう意味なんだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー つづく