二人で一緒に思い切り泣いたことで吹っ切れたような気がした。   3人だけの映像を目の当たりにした事でも戻る道はなくなった、 本当に二人で進むしかない、と逆に二人の決意ともなって、 レッスンにもますます熱が入った。  しかし、残酷ともいうべき、5人での最後の大舞台、大仕事が残されていた。 もう道はわかれてしまったというのに、別々の道を歩み始めたというのに… 5人での仕事…  日本でのTV出演…  灯りの消えた部屋のベッドで、ユノはじっと天井を見つめたまま考えていた。 久しぶりに会うあいつら…話出来るだろうか? 冷静に歌唄えるんだろうか? 繰り返し襲う、イライラと不安に抗いながら時を過ごした。  そんな時ふと、何度も聞こえてくる、隣のベッドの軋む音に気づき、チャンミンの方を見ると 寝苦しそうに、寝返りをうっていた。  少しためらった後 「…チャンミナ?」 ユノは小さな声で呼びかけてみた。 「…  ん? 何? ヒョン… 」 …やっぱり眠れないんだな。予想していたとおり、 すぐに返ってきたチャンミンの答えに、 ユノは「大丈夫か?」と聞いた。 しばらく何も言わずに、じっと黙っていたチャンミンだったが やがて、ゆっくりと起き上がり、 どんよりした表情でユノが横になるベッドの足元に腰かけた。 「色々考えると、緊張して眠れないんだ… 兄さんたちにどんな顔して会えばいいんだろ?とか どんな話すればいいんだろ?とか… それにこんな気持ちで一緒に並んで歌えないよ」 落ち着かない仕草でチャンミンはユノを見ずに言った。 ユノはガバッと起き上がると、足元に座るチャンミンの手をとった。 「お前は何も心配しなくていいから!! 俺が相手するから。1人になるなよ。 絶対に俺のそばから離れるなよ!俺のそばにいろよ!!いいな!チャンミナ。 俺のそばから離れるんじゃないぞ!!」  ちょっと強引で命令的な所がたまにはうざいと思ったこともあったけど こういう所はやっぱりユノヒョンだ。凄く頼りになる… 安心する。 そう思いながらチャンミンは 「うん、…ヒョンそうするよ ヒョンのそばにいるよ。 でもステージではどうしよう? 僕自信ないよ… ちゃんと歌えるかな …」今度はユノをじっと見つめて言った。 ユノは片手でチャンミンの手を握り、片方の手でその手をポンポンと軽くたたいた。 「大丈夫、大丈夫だよ。チャンミナ  ステージでも隣にいるじゃないか。 ちゃんと歌える。チャンミナはちゃんと歌えるさ!不安になったら、横をみればいい。 俺がいるから。ちゃんとそばにいるから」 そう言うと、チャンミンを自分の方にひっぱり抱きしめた。 「そうだね、ヒョンは隣にいるよね。大丈夫だよね。僕ちゃんと歌えるよね」  ユノはチャンミンの背中を優しくたたいた。 「いつもはヒョンのこのベタベタが嫌いだったけど、今日は嬉しいよ」 「なんだ、嫌いだったのか?じゃぁこれからはもっとベタベタしてやるさ!」 ユノはそう言いながら、チャンミンをギュウギュウ抱きしめた。 「やめろよ!ヒョン!もういいから」 そう言いながらも 嬉しそうに抱きしめられているチャンミンだった。 ……  そうさ、僕はユノヒョンがベタベタするのが嫌いなんだ … だれ彼なしにベタベタして… なんかあるたび、ギューギューして… そんなユノヒョンを見るのが嫌いなんだ。 なんだか、ずっとイライラするんだ。 こんなに心地いいから… ユノヒョンの腕の中はこんなにも安心で心地いいから… 他のみんなに知られたくないんだ。 ……… ……   ヒョン  ……  チャンミンは「大丈夫だから、大丈夫だから」と言いながら ギューギュー 抱きしめてくる、ユノの背中にそっと手を回した。 その背中に触れた瞬間、ずっとずっと長い間胸の奥に隠していた 想いがどっと溢れだし、思わず手にグッと力がこもった。 ダメだ、ダメだ、泣くな。こんなに恋しいからって どうしたら、これ以上好きにならずに済むのか、 どうしたら、このまま隠していれるのか こんなにそばにいるのに、こんなに遠い こんなに遠いのに、こんなに恋しい。 ユノヒョン! つづく