『色違い』
というのは、どうやらとても素晴らしい物らしい。

らしいと私が言うのもどうかと思うが。
ふわふわとウェーブした桃色のツインテール。この普通ありえない『色違い』の髪で、言う台詞ではないかもしれない。
そのツインテールはというと今、毛足の長い絨毯と仲良く絡み合っている。お気に入りのジャンスカもニーハイも絨毯にへばりつけ、見上げる高級な革靴に惜しげなく舌を這わせる。
(自称)ご奉仕エンジェルポノちゃん、正式名称ポシノ。それが私。ご覧の通りお馬鹿だ。だからこういうのは当事者な私より、誰か偉い人に訊いた方がいい。

『色違い』というのは、どうやらとても素晴らしい物らしい。
根拠はというと、お金持ちはみんな『色違い』を欲しがるからだ。
お金持ちに飼われてにゃんにゃんうふふという定番ルートもあれば、私みたいに企業に飼われて取引先にご奉仕するにゃん(はぁと)なルートもあり。我ら色違いの就職先はよりどりみどりだ。しかも大体想像できてると思うが、とんでもない額のカネが動いている。
ド底辺ではないがよくて中の下、今の見た目は8割方お化粧品様様なこの私ですら、購入金額を後でこっそり聞いたら目玉落ちそうになった。マジかよ。ぱねぇ。
けれどしばらくこうやって働いてるとなんとなーくその理由もわかってきた。

例えば肉奴隷とか、もうちょい現代的に例えれば風とかキャバとか、ああいうのは普通クオリティが高くないと買われない。つまり、美人じゃなきゃ買われない。
しかしどうやらお偉方にとって『色違い』というのは、『色違い』ってだけで高値を出す価値があるらしい。
顔の可愛さとか胸のデカさとかフェラのうまさとかアレの締まり具合とかそういうことはどうでもよくて、そりゃ多少は好みで選ぶんだろうけど根本的にはどうでもよくて。
オレ『色違い』持ってるぜーすげぇだろー。要約するとそこが一番大事らしい。
なんだかブランドのバッグみたいだな、と思い至ったところで私も全然人の事言えなかった。

そういう訳で(自称)ご奉仕エンジェルポノちゃんは日夜、会社に言われるまま殿方の革靴やらエトセトラをえっちにぺろぺろするのがお仕事です。
本番OK中出しOKプレイスタイルはお客様のお好みで。アナタの未来にご奉仕するにゃん(はぁと)。これで取引が成立するらしい。すげぇ世の中だ。
セックス好きだし今の生活に不満はない。なにより日々革靴を舐められるのは大きなメリットですよ奥さん。あまりに偉い人相手だと靴底が綺麗すぎるのが最近の悩みか。使用感が足りないのだよ使用感が。
けれど不満なんて強いてあげてもそのぐらいだ。
住む場所があり、ご飯があり、可愛いお洋服があり、セックスするだけで生きていける。美味しい話じゃないか。


なのにいつまでも消えないこの物寂しさは、贅沢が過ぎるというもの。



Dolly Lady


fin.