●研究所赤堀達也赤堀202013-05-25T09:55:00Z2013-05-25T09:55:00Z63582046174240012博士とジョージ君その4・登場人物博士ジョージナレーション(ナレ)●研究所ナレ「とある所に一人の科学者と二人の助手がいました。科学者は実力を持ちながらも、その性格のせいで誰からも見向きもされない変わり者。助手のジョージ君もそんな変わり者と一緒にいる変わり者。新しい助手のシャルロット君も、そんな二人を尊敬している変わり者。そんな三人は今日も変な研究を続け、変な発明を行うのでした」散らかった研究所で資料の整理をしているジョージ。そこに博士が新しい発明品をもって入ってくる。博士「ジョージ君! とうとう完成したぞ!飲んだ人間を思うとおりに操る薬、その名も『くぐつくん3号』じゃ!」ジョージ「また怪しい薬を……。そんなものを作って、どうするつもりなんですか?」博士「無論、ワシを馬鹿にした学会を従わせるのじゃ!待っておれ! すぐにワシの言いなりにして‥、ぐわぁ!?」部屋にあるゴミに足を引っ掛け、盛大に転んでしまう博士。手に持っていた薬は、床に落ちて割れてしまう。博士「ああ! ワシの発明品がぁ!」ジョージ「よかった‥じゃない、博士、大丈夫ですか?」博士「ジョージ君!何で部屋がこんなに散らかっておるんじゃ!」ジョージ「何でって、博士が昨日から、『調子がいいぞ!』とか言って、十分おきに発明品を持ってくるからじゃないですか」博士「え? そうだっけ?」ジョージ「(小声で)ホント、過去を振り返らない人だな‥」博士「でも、発明品というより残骸の方が多くないか?」ジョージ「作ってきた物の一割が封印処理、一割が機能不全でほぼ置物状態、残りの八割が爆発です」博士「酷いのぅ……」ジョージ「いや、博士がやったんですけどね。それより、あれだけ発明し続けたんですから、少しは落ち着きました?」博士「ん? ん~‥、まぁ、すっきりしたかの」ジョージ「そうですか、でしたらここを片付けますか」博士「え、片付けるの?」ジョージ「当たり前でしょう。このままじゃ何もできませんよ?」博士「そうじゃ! シャルロット君は?いつもなら彼女が掃除をしていたろう?」ジョージ「シャルロットは里帰りで留守ですよ。それに居たとしても、さすがにこの量を任せるわけにはいかないでしょう」博士「めんどくさいのぅ……。はっ、そういえば!」そう言って、博士は自分の部屋に入っていく。ジョージ「博士? どうしたんです?」部屋から出てくる博士。後ろにはメイド服を着たロボット。ジョージ「え? なんですそれ?」博士「ふふふ、名づけて『メイドさんロボ1号』じゃ!」ジョージ「……つまりお手伝いロボって事ですか?」博士「ふむ、さすがジョージ君、鋭いな」ジョージ「まぁ、メイドで連想される事は少ないですし‥。そんな事より、まともに動くんですか?他の物のように爆発するんじゃないでしょうね?」博士「はっはっは、安心したまえ。これはちゃんと起動実験を終えている」ジョージ「それなら良いんですが……」博士「では、このロボの性能を見せてやろう!『メイドさんロボ1号』よ、飲み物を持ってきてくれ」メイド「イヤです」即答で断るメイド。気まずい空気になる。ジョージ「……博士?」博士「ふっふっふ、見たか!これぞ、今の流行らしきものを取り入れた、『ツンデレシステム』じゃ!」ジョージ「いやいや、よくわかりませんけど、たぶん違うと思いますよ?」博士「え? そうなの?仕入れた情報だと、わざと冷たい反応を取るってあるんじゃがの?」ジョージ「博士、例えこれが良いとしても、目的が達成されないんじゃ、お手伝いロボとして意味無いでしょう」博士「それなら大丈夫じゃ、ちゃんと命令は聞いてくれるぞ!」ジョージ「本当ですか?」博士「おお、ほら見るんじゃ!」台所に歩き始めるメイド。ジョージ「飲み物を取りに行ったのか?」博士「どうじゃ!」誇らしそうにしてる博士の前に戻ってくるメイド。手にはジュースがあった。ジョージ「おお、飲み物を持ってきた!」驚いている二人を尻目に、メイドは手に持ったジュースを一気に飲み干す。メイド「げふぅ……。別に、あんたの為に持ってきたんじゃないんだからね!」博士「どうじゃ!」ジョージ「『どうじゃ!』じゃないですよ!なぜ自分で飲んでるんです!?完全に自分の意思で行動してるじゃないですか!?」博士「いや、人間味があって良いんじゃないかなぁ~っと……」ジョージ「確かに、人間らしい人工知能とか、世紀の大発明ですけど、こういうお手伝いロボットに使っちゃダメでしょう」メイド「部屋が汚い」そう言って、メイドロボ手が変形して掃除機になる。博士「おお、『メイドさんロボ1号』の持つ、百八つの機能の一つ!『掃除機ハンド』!」ジョージ「また微妙な名前を‥。でも、あんな小さな掃除機で、この惨状をどうする気なんだ?」博士「ふっふっふ、侮る無かれ、あの『掃除機ハンド』はワシが以前開発した、『ブラックホール掃除機』を小型改良した物なのじゃ!」ジョージ「え!?それって以前に封印処理した物じゃないですか!」メイド「掃除を開始します」掃除機?が動き出すと、研究所がブラックホールに吸い込まれてしまう。