どうにもハートロストさんたちの動きが説明不足だとは思うのですが、 『レストの偽者はいい人でした』以上の内容も無く、 どれだけ書いてもそんなにおもしろくなる気がしないうえ、 書けば書くほど無駄に読解コストが高くなってしまうので、 本文上では解説パート打ち切りです。 細かい内容は掴めなくても大筋で問題無いはずですが、 ポーンさんにもわからん言われてしまったので、 一応、解説パート開始前に考えていた裏の流れをこっそり貼っておきます。 こういうやり方は卑怯だと思うのですが、ええと、その、一応。一応です。 ハートロストとは: 危険人物監視システム『観測者』や、 観測された危険に対応する公騎士団、 あまり公にしたくない暗殺任務を請け負う清掃機構などでは対応できない、 『観測』が困難な敵対組織などでスパイ活動を行う機関の通称。 ジフロマーシャが秘密裏に所有。 最初期は単なるスパイ機関だったが、 ここ数年は、特殊施療院と協働して開発された偽肢による欺瞞工作が主な仕事に。 偽猫目や、偽レスト(偽ヒヨリ)が所属。 (偽猫目は、ジフロマーシャから逃げ出した猫目を始末して入れ替わったこと、 偽レストと似通った技術を持っていることからここの所属だと判断。 その本来の任務については、僕は特に考えてません。) 『観測者』システムについて: 他人の視聴覚を盗んで、街の動きを監視している機関。 (観測者004が、明らかに同時観測不可能な数、内容の観測を行っており、 しかも区切り方が、場所や時間単位では無く人物単位だったため、 特定の他者の視聴覚をジャックしているものだと判断。) 一人の観測者で観測できる人数には限界があるので、 各観測者の集めた情報を統合して判断する人材が居る。 この情報統合に際して、矛盾は多数決で解消される。 つまり、観測者001がAが海にいるところを目撃していても、 002と003が同時にAが山にいるところを目撃していれば、Aは山に居たと判断される、ということ。 ヒューマンエラー対策。 また、ハートロストは『観測者』が感知されそうなところに潜入するのが仕事なので、 『観測者』はハートロストを直接『観測』することは許されていない。 偽肢について: (義肢、擬肢が出てきたので、つい。) 88年前のダウトフォレストにおいて人類側がエルフに惨敗したため、彼らに対抗するために始められた、 人類が大規模な儀式無しでは使えない各種魔法をより手軽に使うための研究。 88年前当時はまだ精霊技術が未発達だったために研究は難航したが、 精霊が精神への干渉特性を有することが解り、精霊義肢が理想的な形として採用された。 武器などではなく義肢なのは、精神で駆動する精霊をよりノイズの少ない形で利用するため。 (精神に影響されるなら、脳に近ければ近いほど精霊の利用効率は上がるものと判断。) 原理としては、精霊を使った精神拡張(MPドーピング)により、凄い魔法を使おうというだけのもの。 例として、カットスティールは、切り刻むことで相手のDNA情報を解析して、 東方の『変化の術』と同系統の原理で対象の容姿を再現、自身の肉体に貼り付ける。 その他に、エルフの『隠形の術(?)』と似た認識欺瞞も可能。 裏の流れ: 6年前、特殊施療院に技術者として潜入していたハートロストが、所用で教会に行く。 そこで、孤児であったレストと遭遇、仲良くなる。 ある日、爆発事故を起こして危険人物を排除するよう指令が下る(七家の通常業務)。 そして任務実行の際、レストをうっかり爆発に巻き込んでしまう。 慌てて特殊施療院に連れ込み、人工心臓の実験台として使う、ということで手術許可を得る。 運よく手術が成功。 もっとも困難とされた純粋精霊駆動の心臓を得たレストは、その後、モルモットとして扱われる運命に。 しかしハートロストが、レストを、 『6年後に控えたダウトフォレストとの契約更新のための、決戦兵器』 にすることを提案。 『失敗作とされていた偽手ワードプロトをレストに移植し、精霊心臓と組み合わせることで、 森の脅威に立ち向かおう』というそのプランが受け入れられ、 彼女は兵士としての技術を磨くためにリソースガードで危険な仕事に従事させられることになる。 それでもモルモットとしてゆっくりと殺されるよりはマシだろうと、ハートロストは判断した。 しかし6年後、ジフロマーシャ家はまだ戦力が十分では無いとして、今回は復讐を見送ることに。 人工心臓は、以降、同理論での成功例が無いことから研究が凍結されており、 エルフとの戦闘予定が無くなった今、もはやレストに利用価値は無い。 そんな彼女に機密の塊である左腕を預けておくべきではないとして、 左腕の回収ミッションが発動。 ジフロマーシャは、ヘレン教への弾圧を強化しつつ穏便に左腕を回収するため、 レストへ『救済計画』の調査依頼を行うと同時に、 ちょうどインカネーションに潜入していた、レストの利用を提案したハートロストに、 ミッションの遂行と後始末を命じる。 ハートロストは、自分のせいでレストが死ぬことに耐えられず、裏切りを決意。 新しい偽肢カットスティールを得ていた彼女は工作に走る。 数人の配下を従えて、親友を救うために。 自身の動きを『観測』されるわけにはいかないので、 レストと直接接触したり、あからさまな動きをすることはできない。 最初の計画は、以下の通り。 「まずはカットスティールで気付かれない程度にレストを切り([ヒヨリ01])、 精度は低いもののインカネーションの姿から部分的にレストになっておく。 そして、レストが受け取った依頼書を、ポケットを裂いて落とさせる。 (ここまでの行動は、認識欺瞞機能を利用して、透明状態で。 ソールの衣やエルフの魔法と近い原理。) ハートロストの配下がそれを「偶然拾って、セブンハウスのミッションに支障が出てはいけないので」、 クエスト仲介所に届けようとしたところを、レストの姿で待機していたハートロストが見つけて受け取る。 レストは依頼書を探し続けるが、クエスト仲介所に居た人間の多くが 「レストは依頼書を返してもらっていた」と認識することで、 『観測者』の多数決システムにより数日は事態がバレないだろう。 幸いレストは左腕駆動のせいで、時折、観測が遮断されるので、 あわよくば自分が完全にレストと成り代わり、その間にレストを別の街に逃がす。」 しかし、マックオートが猛スピードで現れて依頼書をかっさらい、 その後、マックオートと本物のレストが遭遇してしまったために、 「依頼書を紛失中のレスト」と「依頼書を返してもらってクエスト中のレスト」の二軸ではなく、 「偽物に依頼書を取られたレスト」と「依頼書を持っている偽レスト」という形になってしまい、 最初の計画は破綻。 その後、次の行動を考えているうちにクックロビンが死亡。 『観測者』システムの指揮系統が混乱したため、その隙を突いて、裏切りがバレることも覚悟で、 路地裏で死んでいたヒヨリを切り刻んでヒヨリの姿に変化。レストと直接接触する。 あとは、自分の言葉を信じさせるために教会で行われる虐殺を見せて、 深夜の誰も居ない林道で『観測』を遮断。 慌てたレストの『観測者』がやってきたところで殺害。 (誰が『観測者』なのかはハートロストにも明かされていないため、こうした手法を採用) 一時的とはいえ完全に『観測』から逃れ、その隙に街の外へ逃亡、という計画だった。 自分のせいで人生を壊された少女を助けるため、自己犠牲も厭わずに動いた悲しきスパイ。 ハートロストの見せた心。 みたいなお話。技術と字数と個人的な視点縛りのせいで全然表現できませんでしたが。 しかし表現できなかったおかげで「そういう独りよがりな思いやりって大抵理解されませんよね」というメッセージ性が! が! あ、ちなみにレストはカットスティールさんが誰だったのか気付いてません。 無意識ではなんとなく解ってるけど、理性の部分が認識を拒絶しています(無意識。便利な言葉だ)。 教会弾圧計画について: 本文にも書いた通り。 「計画を調べていた無辜の民が殺されたので、ヘレン教は悪!」とする計画。ザル。 f予算のこともあり急いでいたので、レストが予定通り動かないことが解って即座に計画変更。 ソラを殺人事件の容疑者にして、 「殺人事件の容疑者を追っていた公騎士団が問答無用で返り討ちに遭った! よくよく調べてみるとこっちも悪いところはあったし公騎士団弱すぎでアレだけど、 でもやっぱりヘレン教は悪!」とする計画に。超ザル。 まあ、セブンハウスにも心の余裕が無かったのでしょう。とかなんとか。